「愛犬が体を頻繁に掻く」「皮膚が赤い」「慢性的に下痢を繰り返す」——こうした症状が続いている場合、食物アレルギーが原因のひとつかもしれません。この記事では、犬の食物アレルギーの症状から原因特定・対処法までを初心者向けに解説します。
犬の食物アレルギーとは
食物アレルギーとは、特定の食材中のタンパク質に対して犬の免疫系が過剰反応(アレルギー反応)を起こす状態です。免疫系が食材を「異物」と認識し、IgEを産生することでアレルギー反応が引き起こされます。
重要なのは、アレルギーは初回摂取では起きないという点です。同じ食材を繰り返し食べ続けることで免疫系が過剰反応するようになる「感作」が起き、ある日突然症状が出ます。「ずっと食べていたのに急にアレルギーが出た」というケースはこのためです。
食物アレルギーの主な症状
皮膚症状(最も多い)
- 顔・耳周り・足先・脇の下・股間の強いかゆみ
- 皮膚の赤み・湿疹・脱毛・フケの増加
- 繰り返す外耳炎(片方または両方)
- 掻き傷からの二次感染(膿皮症)
消化管症状
- 慢性的な軟便・下痢
- 食後の嘔吐
- 1日3回以上の排便
- 体重減少・食欲のムラ
その他
- 目の周りの赤み・目やに
- 足先を頻繁になめる
犬の食物アレルギーを起こしやすい食材トップ6
| 順位 | 食材 |
|---|---|
| 1位 | 牛肉 |
| 2位 | 乳製品 |
| 3位 | 鶏肉 |
| 4位 | 小麦 |
| 5位 | 卵 |
| 6位 | 大豆 |
注目すべきは、これらが多くの市販ドッグフードに使われているポピュラーな食材だという点です。
食物アレルギーの診断方法
① 除去食試験(最も確実)
8〜12週間、これまで食べたことのない食材のフードのみを与え、症状の変化を観察します。現在最も信頼性が高い診断方法です。
手順:
- 動物病院で相談し、適切なフード(加水分解フードまたはノベルプロテインフード)を選ぶ
- 試験期間中はフード以外の食べ物を一切与えない(おやつ・サプリ・歯磨きガムも含む)
- 症状の変化を週ごとに記録・写真で管理
- 症状が改善したら元のフードに戻して症状が再燃するか確認(負荷試験)
② 血液検査(IgE検査)
血液中のアレルゲン特異的IgEを測定する方法ですが、犬のアレルギー検査は偽陽性・偽陰性が多く、信頼性が除去食試験より低いとされています。参考として活用する程度にとどめましょう。
③ 皮内反応テスト
アレルゲンを皮膚に注射して反応を見る検査ですが、環境アレルギー(アトピー)の診断向けで食物アレルギーの特定には適していません。
食物アレルギーの対処法
① 除去食試験でアレルゲンを特定する
正確な原因食材を特定することが根本的な対処の第一歩です。
② アレルゲンを含まないフードに切り替える
原因食材が判明したら、それを含まないフードに完全切り替えします。
選択肢:
- 加水分解タンパクフード:タンパク質を細かく分解し免疫系がアレルゲンと認識しにくくしたフード
- ノベルプロテインフード:食べたことのない珍しいタンパク源(鹿肉・カンガルー・ウサギなど)を使ったフード
③ おやつ・サプリも管理する
主食を変えても、おやつや歯磨きガムにアレルゲンが含まれていては意味がありません。すべての食べ物から原因食材を排除しましょう。
④ 皮膚症状への対症療法
かゆみが強い場合は動物病院でステロイド・抗ヒスタミン薬・アポキル(オクラシチニブ)などによる対症療法を受けましょう。
まとめ
犬の食物アレルギーは「原因食材の特定→アレルゲンを含まないフードへの切り替え」が基本的な対処法です。自己判断でフードを変えても解決しないことが多いため、まず動物病院を受診して除去食試験を行い、正確に原因を特定することが症状を確実に改善する近道です。