猫の慢性腎臓病(CKD: Chronic Kidney Disease)は中高齢猫に非常に多い病気で、15歳以上の猫の約30〜40%が罹患すると言われています。腎臓の機能は一度低下すると回復が難しいため、食事管理で進行を遅らせることが治療の中心となります。
猫の腎臓病の食事管理が重要な理由
猫の腎臓は尿を濃縮する能力が高く、少ない水分で老廃物を排出できますが、腎機能が落ちるとこの能力が失われます。その結果、老廃物(尿素窒素・クレアチニン)が血中に蓄積し、食欲不振・嘔吐・体重減少などの症状が出ます。
腎臓病ステージと食事管理
国際腎臓病研究グループ(IRIS)による猫の慢性腎臓病ステージ分類に基づく食事の指針は以下の通りです。
| ステージ | 血清クレアチニン値 | 食事管理の主なポイント |
|---|---|---|
| ステージ1 | 1.6mg/dl以下 | 水分補給・低リン食への移行準備 |
| ステージ2 | 1.6〜2.8mg/dl | 低リン食・ウェットフードへの切り替え |
| ステージ3 | 2.9〜5.0mg/dl | 療法食への移行・低タンパク食 |
| ステージ4 | 5.0mg/dl以上 | 獣医師の指示による厳格な食事管理 |
リンの制限が最重要
腎臓病が進むと体内のリンが排出されにくくなり、高リン血症が腎臓のさらなるダメージを引き起こします。
リンが多く避けるべき食材
- 乳製品全般
- 内臓・レバー類
- 骨ごと食べるタイプのフード
リンが少ない食材
- 白身魚・鶏の白身
- 卵白
- 白米
市販の低リンフードや療法食では「リン含有量」が明記されているものを選びましょう。
水分補給が命綱
腎臓病の猫は脱水になりやすく、水分摂取量の管理が最重要の課題の一つです。
- ウェットフードへの切り替え(水分含量70〜80%)を最優先に検討
- 複数箇所に水皿を置く
- 流れる水を好む猫にはウォーターファウンテンを活用
- ドライフードにぬるま湯をかけて水分量を増やす
タンパク質の考え方
猫はタンパク質の代謝が盛んな動物で、過剰な制限は筋肉量の低下を招きます。ステージ3以上で医師の指示がある場合に限り制限を行い、それ以前は高品質なタンパクを維持するのが現在の推奨です。
療法食の活用
腎臓病が診断されたら、以下の療法食を獣医師と相談のうえで活用しましょう。
- ヒルズ k/d:低リン・低タンパクのバランスが取れた定番療法食
- ロイヤルカナン 腎臓サポート:嗜好性が高く食べ慣れやすい
まとめ
猫の腎臓病の食事管理は「低リン・水分補給・適切なタンパク質・ウェット食の活用」が基本です。病期(ステージ)ごとに食事内容を調整し、定期的な血液・尿検査で状態をモニタリングしながら進めましょう。